サマーワークショップ2023「ワクワクする学校ってどんな学校?」開催レポート
こんにちは、天沼小学校 学校運営協議会委員の吉田です。
今回は、少し前になりますが、2023年8月に開催したサマーワークショップのレポートをお届けします。
天沼小で日々繰り広げられる、子どもたちの目がキラキラと輝くワクワクの時間。そのワクワクを生み出す秘訣を一緒に見つけていただければと思います。
毎年夏に学校運営協議会が主催しているサマーワークショップは、保護者と先生、地域関係者が、天沼小の子どもたちの「力」を伸ばすための情報共有や気軽に意見交換ができる場。
夏休みも終わりに近づいた2023年8月30日の朝、天沼小センターコートに約60名の方が集まり、リラックスした雰囲気の中で、とても有意義な意見が飛び交う会となりました。
今年のテーマは「ワクワクする学校ってどんな学校?」。
天沼小の先生たちが、普段どのようにワクワクする授業づくりをしているのか、その工夫や想いに迫りながら、それぞれの立場で気づいたこと、できることについて話し合いました。
ご参加いただいた皆様に感謝するとともに、ご参加いただけなかった方々にも当日の内容をぜひ知っていただきたく、レポートをまとめましたので、ぜひご一読ください。
テーマの設定に込められた想いと期待
学校運営協議会の高橋会長による開会の挨拶では、まず、今回のテーマ設定の背景について、今年の4月より着任された薩摩校長先生の学校経営の方針に基づいていることが伝えられました。
「ワクワクする学校」という抽象的な表現に対して、参加者一人ひとりがどのように考え、どのように貢献できるかを深掘りすることへの期待についてもお話いただきました。
また、年齢を重ねるごとに「時間が短く感じる」という一般的な感覚に触れ、それと対照的に「子どもたちは毎日ワクワクすることが多いから、時間を長く感じる」との観点を紹介。
この"ワクワク"というキーワードが非常に重要であると強調され、和気あいあいとしたカフェのような雰囲気のなかで、積極的に意見を交換するように呼びかけられました。
先生たちが挑戦するワクワクする学校づくり
開会あいさつに続いて、先生方への質問・回答形式で、天沼小で行われている「ワクワクする学校」づくりの取り組みについて、参加者全員で理解を深めました。
「天沼小学校の現場から 〜先生たちが挑戦するワクワクする学校づくり〜」と題して、突撃リポーター”イクちゃん”の軽快な進行のなか、数多くの先生方が主体的に発表してくださり、日々の先生方の工夫や想いを聞くことができました。
改めて、子どもたちのワクワクを引き出すための、大人からの問いかけ、先回りしないで子どもたちを信じて待つことの重要性を再認識することができました。
以下に、質問と先生方の回答要点をまとめました。
Q1.自分の授業の中で子どもたちがイキイキしていると感じる時はどんな時ですか?
子どもたち同士でお話しながら一つの活動をしている時
子どもたちが疑問をもちながら、自分たちで問題を解決しようと頑張っている時
自由度が高い授業設定、例えば体育、図工、理科など実感や豊かな発想が伴う時
Q2.子どもたちの「ワクワクする学び」を実現するための最大の挑戦は何だと感じますか?
授業の最初で子どもが「どうしてだろう」という疑問を持つような導入の工夫
「発問」が挑戦であり、子どもたちの「知りたい」「学びたい」を引き出すこと
授業に遊びとユーモアを取り入れること
Q3.子どもたちが積極的に参加する授業を工夫する際のポイントは何ですか?
歌のお姉さんのように、大げさかつポジティブに子どもたちに声をかける
雰囲気作りや刺激的な問いかけ
遊びや体験型の授業、子どもたちの知的好奇心を刺激する要素が必要
Q4.地域や保護者と連携して「ワクワクする学び」を実現するためにはどうすれば良いと考えますか?
地域での体験型学習や保護者の方を先生とした探求授業の企画
地域の商店街や企業との交流の仕組み化、たとえば地域で出る廃材を活用した図工授業など
保護者や地域の人々の専門知識や経験を教育に活かす
Q5.コロナ禍が緩和された今だからこそ、今後チャレンジしたいことはありますか?
これまでの慣習に囚われない、新たな教育手法や授業内容を考案
他校の先生との交流を再開、保護者や地域の方も巻き込んで一緒にスポーツ活動を広める
地域イベントやお祭りに参加し、子どもたちと共に新しい体験を積む
参加者全員の活発な対話から生まれた、ワクワクのヒント
対話では、ワールドカフェ方式を採用し、①テーマについて探求・対話、②アイデアの他花受粉、そして③まとめという流れで進めました。途中テーブル移動もはさみながら、みなさんに活発に意見を出していただき、非常に盛り上がりました。
各グループごとにワークシートにまとめてもらい共有してもらうなかで、心のゆとり、信頼と関係性、地域の積極的な関与、体験と実践、挑戦と失敗などの共通のキーワードが出てきて、ワクワクする学校環境を作るためのヒントがたくさん詰まっていました。
以下に、各グループのワークシート内容をまとめました。
グループ1
ワクワクする学校に必要なのは「みんなが時間と心にゆとりを持つ」
そのための最初の一歩は
先生は「当たり前を見直してみる」
保護者は「子どももリラックスできるようにしてみる」
地域は「子どもと交流の居場所」
グループ2
ワクワクする学校に必要なのは「先生のゆとりとやっちゃえ魂」
そのための最初の一歩は
先生は「ちっちゃなワクワクを探してみる」
保護者は「ワクワクしてる姿を見せてみる」
地域は「小さなワクワクを企画してみる」
グループ3
ワクワクする学校に必要なのは「互いに認め合える関係『信頼』」
そのための最初の一歩は
先生は「子どもにまかせてみる」
保護者は「子どもにやらせてみる」
地域は「皆に感謝する」
グループ4
ワクワクする学校に必要なのは「人として元気が大切」
そのための最初の一歩は
先生は「早く帰ってみる」
保護者は「ゆとり(笑顔)」
地域は「見守る・受けとめる」
グループ5
ワクワクする学校に必要なのは「子どもにとっての安心、大人の余裕」
そのための最初の一歩は
先生は「何でも話してみる」
保護者は「不要なものを削ってみる」
地域は「とりあえず関わってみる」
グループ6
ワクワクする学校に必要なのは「子どもたちが楽しめる環境」
そのための最初の一歩は
先生は「子どもと向き合う時間を大切に」してみる
保護者は「日常会話を大切に」してみる
地域は「昔あそびなどバックアップ」してみる
グループ7
ワクワクする学校に必要なのは「時間のゆとり」
そのための最初の一歩は
先生は「今の方針に自信をもってみる」
保護者は「見守ってみる」
地域は「小さなワクワクを企画してみる」
グループ8
ワクワクする学校に必要なのは「大人もワクワクすること」
そのための最初の一歩は
先生は「一緒に挑戦」してみる
保護者は「学校や地域の活動に参加」してみる
地域は「朝に”おはよう”を」してみる
グループ9
ワクワクする学校に必要なのは「ゆとりと体験」
そのための最初の一歩は
先生は「整理」してみる
保護者は「会話」してみる
地域は「伝承」してみる
グループ10
ワクワクする学校に必要なのは「大人が楽しむこと」
そのための最初の一歩は
先生は「心のゆとりをもってみる」
保護者は「笑顔を心がけてみる」
地域は「仲間を増やしてみる」
グループ11
ワクワクする学校に必要なのは「ワクワクの種をまく」
そのための最初の一歩は
先生も「自分のワクワクを追求してみる」
保護者は「時に失敗を見せて一緒に挑戦してみる」
地域は「子どもたちの安心と安全を守ることをしてみる」
子どもの立場に立つことを大切に、ワクワクする学校づくりに邁進
対話の熱量が冷めやらぬなか、総括として、薩摩校長先生にお話いただきました。
まずはじめに、会を通して、多くの参加者から「子どもと関わる大人がワクワクすることが大事!」との声が出たと強調。
次に、先生と子どもたちの視点でいくつかのキーワードがあり、先生側の視点としては、「友達と一緒にやれる」「自由度を子どもたちに与える」といったキーワード、一方で、子どもたち側の視点としては「知りたい」「学びたい」といった強い好奇心を引き出す重要性について語られ、子どもの立場に立って考えることを大事にしたいと常々思っているとお話されました。
ワークショップで集まった意見には「安心できる」「互いに認め合う」「ゆとりを持つ」といった共通のテーマ性が見受けられたということで、今後、これらの貴重な意見を元に、学校教育の最終的な目標でもある社会的自立につながるよう、先生たちや子どもたちと共に進歩と方策を考え、ワクワクする学校づくりに邁進していきたい、という決意を語っていただきました。
おわりに
天沼小学校のワクワクする学校づくりの取り組みや秘訣について、一部ではありますがご理解いただけたでしょうか。
今回のサマーワークショップでは、特に先生方の生の声で、日々の工夫や想いを聞くことができ、普段の子どもたちとの関わり方の参考になりました
また対話会においては、テーマが抽象的だった分、参加者それぞれの知見や視点で、非常に多様な意見やアイデアが出て盛り上がりました。
参加者にとった事後アンケートでも、もっと話したかったという声が多かったので、次回もっと時間が取れるよう工夫していきたいと思います。
今後も、天沼小学校では、先生、保護者、地域が一体となって、更なる工夫を重ね、子どもたちがよりワクワクする学校づくりに取り組んでいくことでしょう。
レポートは以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
文責:天沼小学校 学校運営協議会委員 吉田真也